100均防草シートって効果ある?メーカーがプロ目線で調査した結果

最近の物価上昇の影響で、「出来るだけ安く雑草対策したい」「とりあえず100均で防草シート買ってみようかな」と考えている方も多いのではないでしょうか?
実際に、ダイソーやセリアなどの100均では手軽に防草シートを購入することができます。
しかし、「安かろう悪かろう」なのか、それとも「意外と使える」のか…。
今回は防草シート専門メーカーの目線で、実際に100均の商品を比較・検証しました。
〇:小さい庭・弱い雑草・短期間の雑草対策には使えます。
×:広い土地・葉先の尖った強力雑草・長期間の雑草対策は困難。プロ仕様が無難です。
100均で防草シートを買おうか迷っている方は、ぜひ最後まで読んでいただき目的に合わせてご選択ください。
100均防草シートを全種類買ってみた!
100均と言えば、ダイソー、セリア、キャン★ドゥが人気です。
弊社は福井県にあるのですが、県内の店舗で購入できる防草シートを全種類購入してきましたので、ご紹介します!!
対象店舗と防草シートラインナップ
ダイソー
織布タイプの防草シートが2種類。サイズは3規格ありました。(※1m×5mサイズのみ300円)

左:300円の防草シート、右:100円の防草シート
セリア
織布タイプの防草シートが1種、不織布タイプの防草シートが1種です。サイズ展開はなく、ほぼ同じサイズでした。

左:織布防草シート、右:不織布防草シート
キャン★ドゥ
地元福井県の店舗をまわってみましたが、キャン★ドゥで、防草シートの取り扱いはありませんでした。
比較表で一目瞭然!100均 vs プロ仕様
100均の防草シートとプロ仕様の防草シートとではどのくらい違いがあるのでしょうか?
販売者の目線ですが、客観的に違いを見ていただければと思います。
なお、プロ仕様の防草シートは、100均の防草シートに近い織布タイプと不織布タイプを例に挙げて比較しました。
織布タイプの比較
ショップ名 | ダイソー | ダイソー | セリア | 防草シート専門店 |
---|---|---|---|---|
商品名 | 防草シート![]() |
PP防草シート![]() |
防草シート![]() |
大面積専用 草なしシート ![]() |
構造 | 織布 | 織布 | 織布 | 織布 |
材質 | PP | PP | PP | PP |
色 | 黒 | 黒 | 黒 | 黒 |
サイズ | 1m×5m | 1m×1.4m 70㎝×2m 1m×5m※ |
88㎝×1.4m | 1m×4.8m 1m×50m 1m×100m 2m×50m 2m×100m |
耐久年数 | 2~3年 | 記載なし | 記載なし | 8~10年 |
価格 | 300円 | 100円(※300円) | 100円 | 3,618円~ |
1㎡あたりの 価格 |
60円/㎡ | 71円/㎡(※60円/㎡) | 81円/㎡ | 195円~/㎡ |
織り密度 (5cm角あたりの糸の数) |
縦糸23本 横糸22本/㎡ |
縦糸18本 横糸18本 |
縦糸22本 横糸18本 |
縦糸50本 横糸29本 |
目付 (1㎡当たりの重さ) |
93g/㎡※1 | 87g/㎡※1 | 70g/㎡※1 | 100g/㎡※2 |
厚み | 0.2mm※3 | 0.1mm※3 | 0.1mm※3 | 0.3mm※2 |
光の透け具合※4 | ★★★☆☆ 隙間は少なく蛍光灯の形は見えない |
★★☆☆☆ 隙間が均一で、蛍光灯の形がはっきり見える |
★★☆☆☆ 隙間は不揃いだが、蛍光灯の形は見えない |
★★★★★ 隙間は殆どなく、蛍光灯の形は全く見えない |
備考 |
紫外線劣化防止加工 熱処理加工 遮光率99.5%以上保証 |
不織布タイプの比較
ショップ名 | セリア | 防草シート専門店 |
---|---|---|
商品名 | 雑草防止シート![]() |
砂利下専用草なしシート![]() |
構造 | 不織布 | 不織布 |
材質 | PP | PET |
色 | 緑 | グレー |
サイズ | 88㎝×1.5m |
1m×4.8m 1m×25m 2m×25m |
耐久年数 | 記載なし | 5年 (土中なら半永久) |
価格 | 100円 | 3,073円~ |
1㎡あたりの 価格 |
76円/㎡ | 420円~/㎡ |
密度 (1㎤あたりの重さ) |
0.21g/㎤ | 0.375g/㎤ |
目付 (1㎡あたりの重さ) |
64g/㎡※1 | 150g/㎡※2 |
厚み | 0.3mm※3 | 0.4mm※2 |
光の透け具合 | ★☆☆☆☆ 隙間はないが全面的に光を通し、蛍光灯の形がはっきり見える |
★★★★☆ 部分的に光が透けるが蛍光灯の形は見えない |
備考 | 防根機能付き 高密度 遮光率99.5%以上保証 |
※1:実測値。電子秤で計測。商品記載のサイズから1㎡当たりの重さを算出。
※2:品質保証値。保証値以上で製造していますので、実測値はより数値が上になります。
※3:実測値。デジタルノギスで計測。
※4:防草シートを蛍光灯に透かし、蛍光灯の形状が見えるかどうかで遮光性を確認。
比較表の見かた・チェックポイント!
100均とプロ仕様の防草シートを様々な項目で比較しましたが、その数値やデータが何を表しているのか、防草性能の何に影響するのかについて簡単にご紹介いたします。
◆材質のPPとPETとは?
PPはポリプロピレン、PETはポリエステルです。PPは安価で熱や紫外線に弱く、熱変形しやすいです。
一方、PETは高価だが熱や紫外線に強く、熱変形しにくいのが特徴です。よってPETの方が縮みにくく耐久性も高いです。
材質がPPの場合は、コストは上がりますが耐久性を高めるために紫外線劣化防止加工や熱処理加工を施している場合があります。
◆織り密度とは?
織布タイプの織り目の細かさを表す。
通常は、1インチあたり糸が何本織り込まれているかで表しますが、今回は差が分かりやすいよう5㎝角で比較しました。
糸の数が多いほど縦糸と横糸が密に織り込まれていて隙間が少なく、繊維がズレにくいため雑草が生えにくいです。
◆密度とは?
不織布タイプの繊維の詰まり具合を表す。比較表では1cm×1cm×1cm(1㎤)あたりの重さです。
数値が高いほど繊維間の隙間が少なく、葉先の尖った雑草を防げるかどうかの判断材料になります。
◆目付とは?
1m×1m(1㎡)あたりの重さです。
数値が高いほど沢山の繊維が使われており、より高い強度、より高い遮光性になる傾向があります。
100均とプロ仕様の防草シートの違いまとめ
100均の防草シートとプロ仕様の防草シートには、違いがあるのがお分かりいただけたでしょうか?
ではこの違いが何に影響するのか、メリット・デメリットとして簡単にまとめました。
100均防草シートのメリットデメリット
メリット | デメリット |
---|---|
安価で試しやすい | 遮光性や密度が低く、雑草が突き抜けやすい |
軽くて小さく扱いやすい | 耐久性が低く、1~2年で劣化 |
1~5㎡までの小面積に便利 | 広い面積ではシート継ぎ目が多くなり雑草発生の原因になる |
短期間の雑草対策に最適 | 熱に弱く、防草シートが収縮しやすい。ピンの抜けやシートの裂け、継ぎ目の重ね幅減少による雑草発生やシートめくれ問題 |
防根性に乏しく、砂利や人工芝の下地には不向き | |
織りシワがあり敷きにくい | |
厚みが薄く、強度が低くて破れやすい |
プロ仕様防草シートのメリットデメリット
メリット | デメリット |
---|---|
遮光率、密度が高く、防草効果が高い | 価格が2倍以上と高く手軽に買えない |
紫外線劣化に強く、長期間使用できる | 4㎡未満の小面積には防草シートが余り無駄になる |
熱に強く防草シートが縮みにくいので、ピンの抜けやシートの裂けが生じにくい | サイズが大きく、狭い土地では扱いにくい |
織布タイプはピン打設時の目安となる位置にライン入りで敷きやすい | 1~2年程の短期の雑草対策には高価すぎてもったいない |
不織布タイプは防根機能付きで砂利や人工芝の下地に最適 | |
ロール状の梱包は、織りシワがなく敷きやすい | |
大きいサイズ展開で、広い面積に最適。継ぎ目が少なく雑草発生や風侵入によるめくれのリスクが下がる | |
厚みがあり、丈夫で破れにくい |
今回、プロ仕様の防草シートは2つに絞って比較しましたが、他にも色々な防草シートがあります。
一覧にしていますので、参考までにこちらもどうぞご覧ください。
100均防草シートの効果ってどうなの?
ダイソーなどの100円ショップで手に入る防草シートは、コストパフォーマンスに優れた選択肢として人気です。
しかし、その効果や耐久性については一考の余地があります。
防草シートを見るだけでも織の粗さ、密度の低さ、遮光性の良し悪しがわかり、雑草の抑制には限界があることが想像できます。雑草が繁茂しているエリアでの使用は、耐久性の短さから1~2年で穴が空き、防草効果がなくなっていく※ため注意が必要です。
ただし、100均の防草シートは手軽に購入でき、軽くて初心者でも簡単にDIY出来るため、庭のほんの一部を短期的に雑草対策したい場合や、費用をかけたくない方には適しています。
長期的な効果を期待する場合や広い面積を雑草対策する場合には、少しランクを上げたホームセンターの防草シートやさらに品質の良いプロ仕様の防草シートを使用されることをおすすめします。
※100均防草シート(検体:D社シート)は、1年半で基準値を下回る結果を確認。
100均防草シートの用途
前述のように100均の防草シートとプロ仕様の防草シートどちらも一長一短があります。
ご自身の用途に合った防草シートを選んで雑草対策をしましょう!
オススメの用途



小スペースの雑草対策
ダイソーとセリアの防草シートを比較してみましたが、どれも小サイズなので、お庭のほんの一角、1坪程の小さなスペースの雑草対策におすすめです。
短期間の雑草対策
100均防草シートは、光の透け具合や織り目の粗さを見ても防草効果や耐久性はあまり期待しない方が良いでしょう。
そのため、大型雑草や葉先の尖った強力なが繁茂している場所は避け、1~2年程度の短期間でガーデニングや家庭菜園などの雑草対策として手軽にお使いいただく場合におすすめです。
オススメでない用途
広い土地の雑草対策

面積が広くなればなるほど、防草シートの継ぎ目が多くなります。
ポリプロピレンは熱に弱く、熱処理加工がされていない場合、夏場の熱でかなり収縮してしまいます。
100均の防草シートは、その安さから熱処理加工が施されていないものが殆どで、継ぎ目の重ね幅が少なくなることで雑草が発生したり、ピン固定部分の防草シートの裂けや、ピンが抜けてしまう場合もあります。
継ぎ目からの雑草対策や熱収縮後のメンテナンスを考える必要があります。
葉先の尖った強力雑草の防草


織布防草シートや密度の低い不織布の場合、葉先の尖った強力な雑草(チガヤ・笹・スギナなど)は容易に突き抜けます。
強力雑草の生えている場所や、大型雑草の群生地にはおすすめしません。
長期間の雑草対策

長期にわたって雑草対策したい場合、100均の防草シートは耐久性が短く、劣化して穴が空くことで雑草が発生したり、防草シートが飛散する恐れもあります。
そのため、頻繁な貼り替えが必要になります。
劣化した防草シートの撤去作業や処分の手間を考えるとメンテナンスに労力を使います。
砂利や人工芝の下地


織布の防草シートや密度の低い不織布の防草シートを砂利や人工芝の下地に使用する場合は、特に注意が必要です!
防草シートは、その上に砂利や人工芝などをのせると、その層で雑草が生える場合※があります。
その場合、雑草の根は織布防草シートの縦糸と横糸の隙間を突き抜け地面に根を下ろすため、根が防草シートに絡み雑草の抜き取りが非常に大変です。
また、防草シートを敷きなおす場合は砂利や人工芝の撤去からしなければいけないため大変な重労働になります。
※飛来種子と言われ、風や小動物によって運ばれてくる雑草の種が根付く場合があります。
100均防草シートの使い方
100均の防草シートも当店で販売しているプロ仕様の防草シートも、防草性能(遮光率・耐久性・透水性・貫通抵抗性・引張強度など)に違いはありますが、使い方は基本的に同じです。
ポイントをおさえて正しく施工すれば相応の防草効果は得られます。防草シートの敷き方を別途詳しくご紹介していますので参考になさってください。
100均防草シートは、熱に弱いポリプロピレンを材質としているものが多く、屋外に敷いた場合、熱による縮みが大きいです。
そのため、防草シートと防草シートの継ぎ目における重ね幅は、10㎝では足りなくなる恐れがあります。
弊社で実施した熱収縮試験の結果では、100均の防草シートが最も収縮率が高く、縦方向で約20%、横方向で約15%の収縮を確認したものもありました。
収縮率は防草シートの製造方法や構造によって異なるため、重ね幅の目安をお伝えするのは難しいです。
防草シートを敷く際はあらかじめ重ね幅を広く取り、状況に応じて敷きなおすなど調整していただくことをおすすめします。

防草シートの熱収縮事例
100均で揃う防草シートの副資材は?
防草シートを利用した雑草対策は、防草シートの他に固定ピンも必要です。
100均で一緒に購入できる副資材にどんなものがあるかも調査しましたのでご紹介いたします。
固定ピン
防草シートは、しっかり固定できて初めて防草効果を発揮します。
そのため、100均でどんな固定ピンが購入できるのか調査しました。
ダイソーとセリアでは、ダイソーの方が種類が豊富で、コの字型、Jの字型、6角形の押さえがついたピンの他、材質がポリプロピレンの杭(プラピン)などもありました。
プラピンは耐久性に欠けるので今回の比較からは除外し、4種類のピンを比較しました。

固定ピン比較表
ショップ名 | ダイソー | ダイソー | ダイソー | セリア |
---|---|---|---|---|
商品名 | スチールシートピン | シート押さえ杭 Jの字タイプ |
シート押さえ杭 コの字タイプ |
U字シートピン |
入数 | 4本 | 6本 | 6本 | 6本 |
価格 (1本あたり) |
100円 (25円/本) |
100円 (16.7円/本) |
100円 (16.7円/本) |
100円 (16.7円/本) |
材質 | スチール | スチール | スチール | スチール |
規格 | 幅6.5㎝、長さ17.5㎝ | 幅4.6㎝、長さ15㎝ | 幅3.3㎝、長さ15㎝ | 幅3㎝、長さ14㎝ ※短い方の長さ10.5㎝ |
太さ※ | 2.81mm | 3.18mm | 3.18mm | 2.88mm |
特徴 | ・ピンの頭が6角形になっていて押さえが利く ・ピンの頭がシートから浮き上がるため抜き取り簡単。 ・歩行時には、ピンが浮き上がっているので注意が必要 |
・地面に刺さる部分がコの字型よりも少ないため、地面に石などの障害がある場合に避けて刺しやすい | ・地面にピンが2本刺さるため他の形状よりも支持力が高い | ・先端がやや尖っているので打ち込みやすい ・緑色のコーティングで目立ちにくく錆にくい |
オススメの使い方 | シートを敷いたりはがしたり、繰り返し使う場合にオススメ | 地面に石が混ざりピンが刺さりにくい時に方向転換しやすくオススメ | 支持力が高いのでしっかり固定したい時にオススメ | 見た目を気にする場所にオススメ |
※太さは、デジタルノギスによる実測値です。
100均のピンの材質は全てスチールで、太さも約3mmでした。
そのため、地面の硬さに対するピンの強度はほぼ同じと言えるでしょう。
また、耐久性はピンの太さに比例しますので、耐久性もほぼ同じと考えて良いでしょう。
参考までに、当店では、太さ3mmのピンは耐久性5年、4mmで耐久性10年になります。
・ピンの長さはどれも10~15㎝までなので、風当たりの強い場所への使用は、防草シートがめくれる恐れがあるのでおすすめしません。お庭など風当たりの少ない場所での使用がおすすめです。
・太さが約3mmと細いため、砂利が沢山混ざった場所への使用は、ピンが曲がって打ち込めない場合があります。より太いピンを別途用意することをおすすめします。
粘着テープ(布タイプ)
防草シートの施工時に、あると便利な資材がテープです。
雑草は、防草シートに切込みを入れた部分、防草シートをピンで固定した穴、防草シートと防草シートの継ぎ目など、わずかな隙間を狙って生えてきますので、隙間を粘着テープでふさいでしまうのがおすすめです。
サイズは、ダイソー・セリアどちらも50mm×9m。色はブラック、グリーンとありますので防草シートの色に合わせて使い分けが可能です。



100均のテープは基本的に屋内使用向きで、屋外の雨ざらし状態での使用には適していないため、すぐに剥がれてしまう可能性があります。
剥がれた場合は、貼り替えなどのメンテナンスが必要です。
まとめ:100均防草シートは使い方次第で有効!目的に合わせた選択を
100均の防草シートは、手軽・安価・入手しやすいという大きなメリットがあります。
特に、小さな庭や一時的な雑草対策には非常に便利です。
しかし、広い面積や長期間の雑草対策には、耐久性や防草効果が不十分な場合があります。
このような場合には、高密度で遮光率や耐久性の高いプロ仕様の防草シートを検討すると良いでしょう。
プロ仕様のショップでは固定ピンや接着剤などの副資材も充実しておりより確実な雑草対策が可能です。
無料サンプルを提供しているメーカーもありますので、実物を見てから検討されることをおすすめします。
「何を選べばいいか分からない」という方は、簡単な質問に答えるだけで最適な防草シートが見つかるツールをご用意しています!
防草シートに関する疑問や相談がありましたら、専門スタッフがサポートいたします。